福島県郡山市。今回の会場となる安積歴史博物館のある場所です。
どんな場所か、まずは簡単にご説明します。
明治以前、荒涼とした原野が広がるような場所だった郡山。
武士の時代が終わりを告げ、明治政府による国営事業の第1号として、「国営安積開拓(あさかかいたく)」事業が開始されました。
もともとは水利の悪かったこの土地に、山を越えて猪苗代湖から水を引き、豊かな街を拓くという壮大な事業を完遂させるために多くの人々が協力し、現在の郡山の礎を作りました。
そんな歴史的な史跡が多く残る開成地区にあるのが、安積歴史博物館です。
安積歴史博物館は、旧福島県尋常中学校として県下の高等教育の中枢となる重要な役割を担っていた場所でした。現在も県立安積高校の校舎が敷地内にあり、安高生はときどき博物館を訪れる機会があります。
そんな旧尋常中学校の歴史を受け継ぐ安積高校の校訓には「開拓者精神」という言葉がいまでも脈々と安積開拓時代の先人たちから受け継がれているのです。
***
時代は変わり、現在。2011年の東日本大震災は東北地方に甚大な被害をもたらしました。郡山市を含めた福島県は、原発事故や震災の影響を少なからず引きずっています。
生活は震災以前と同じ状態に徐々に戻ってきている人も多いと思います。
ただ、ひとつ震災以前と大きく変わってしまったのは、世界の「フクシマ」になってしまったこと。いくら生活が戻っても、なにか心のもやもやを感じる人は少なくありません。
かくいう私も、その一人でした。こんなに自分の生まれ育った場所を考えたことは今までにありませんでした。でも何をどうしていいのかわからない。そんなもやもやが数年、頭の一部を占めていました。
「アートイベントやりませんか?!」
そんな一言がもやもやの中から答えを導いてくれた気がしました。そうか、自分が好きで得意なことを通じて何か動き出せる方法があったじゃないか、そう思える一言でした。
「ぜひ、郡山でやりませんか?」
私はおそらく考える間もなくそう答えていました。
やるなら安歴博。なぜかその言葉が頭に浮かびました。
知らず知らずのうちに安積で培われた開拓者精神が、これをきっかけに私の中で沸き起こったのかもしれません。
***
現代アートを通じて、というと「わからないよ」と敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。
とっつきにくいところもあるし、美術をやっているという人がそうさせてしまったという事実もあるかもしれません。しかし、私自身、気持ちが揺さぶられ、興奮し、これまでのものの見方を一変させてしまうような素敵な作品たちやアーティストに触れる機会に恵まれました。五感をフル活用して楽しむことで、アートを通じてアーティストとコミュニケーションしているのだと気づきました。
実はアートは難しいことではなく、自分の思いや考えを作品を通じて表現することなのです。アーティストが提示した思いに対して、それを見て感じて楽しむこと。自分なりに考えてみて答えをだすこと。そういった対話のなかで、もう一歩踏み込んで自分と他者や場所、これまでやこれからについて考えるきっかけになればいいなと思うのです。
自分が今いる場所や環境、そして自分自身について考えること。
いま、ここ郡山でアートイベントをやる意味はそこにあると感じています。
安歴博はみんなにきっかけを与えてくれる場所、アートはそのきっかけをどんどん拡張していってくれる方法のひとつだと思っています。
そして、その先にどのような明日を創っていけばいいのか、みんなで考えていきたいと思います。
どんな場所か、まずは簡単にご説明します。
明治以前、荒涼とした原野が広がるような場所だった郡山。
武士の時代が終わりを告げ、明治政府による国営事業の第1号として、「国営安積開拓(あさかかいたく)」事業が開始されました。
もともとは水利の悪かったこの土地に、山を越えて猪苗代湖から水を引き、豊かな街を拓くという壮大な事業を完遂させるために多くの人々が協力し、現在の郡山の礎を作りました。
そんな歴史的な史跡が多く残る開成地区にあるのが、安積歴史博物館です。
安積歴史博物館は、旧福島県尋常中学校として県下の高等教育の中枢となる重要な役割を担っていた場所でした。現在も県立安積高校の校舎が敷地内にあり、安高生はときどき博物館を訪れる機会があります。
そんな旧尋常中学校の歴史を受け継ぐ安積高校の校訓には「開拓者精神」という言葉がいまでも脈々と安積開拓時代の先人たちから受け継がれているのです。
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時代は変わり、現在。2011年の東日本大震災は東北地方に甚大な被害をもたらしました。郡山市を含めた福島県は、原発事故や震災の影響を少なからず引きずっています。
生活は震災以前と同じ状態に徐々に戻ってきている人も多いと思います。
ただ、ひとつ震災以前と大きく変わってしまったのは、世界の「フクシマ」になってしまったこと。いくら生活が戻っても、なにか心のもやもやを感じる人は少なくありません。
かくいう私も、その一人でした。こんなに自分の生まれ育った場所を考えたことは今までにありませんでした。でも何をどうしていいのかわからない。そんなもやもやが数年、頭の一部を占めていました。
「アートイベントやりませんか?!」
そんな一言がもやもやの中から答えを導いてくれた気がしました。そうか、自分が好きで得意なことを通じて何か動き出せる方法があったじゃないか、そう思える一言でした。
「ぜひ、郡山でやりませんか?」
私はおそらく考える間もなくそう答えていました。
やるなら安歴博。なぜかその言葉が頭に浮かびました。
知らず知らずのうちに安積で培われた開拓者精神が、これをきっかけに私の中で沸き起こったのかもしれません。
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現代アートを通じて、というと「わからないよ」と敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。
とっつきにくいところもあるし、美術をやっているという人がそうさせてしまったという事実もあるかもしれません。しかし、私自身、気持ちが揺さぶられ、興奮し、これまでのものの見方を一変させてしまうような素敵な作品たちやアーティストに触れる機会に恵まれました。五感をフル活用して楽しむことで、アートを通じてアーティストとコミュニケーションしているのだと気づきました。
実はアートは難しいことではなく、自分の思いや考えを作品を通じて表現することなのです。アーティストが提示した思いに対して、それを見て感じて楽しむこと。自分なりに考えてみて答えをだすこと。そういった対話のなかで、もう一歩踏み込んで自分と他者や場所、これまでやこれからについて考えるきっかけになればいいなと思うのです。
自分が今いる場所や環境、そして自分自身について考えること。
いま、ここ郡山でアートイベントをやる意味はそこにあると感じています。
安歴博はみんなにきっかけを与えてくれる場所、アートはそのきっかけをどんどん拡張していってくれる方法のひとつだと思っています。
そして、その先にどのような明日を創っていけばいいのか、みんなで考えていきたいと思います。
written by Aoi Kagaminuma